• 3月 23, 2026
  • 3月 15, 2026

【院長コラム】「風邪だと思ったら実は肺炎」―救急医が大切にしている“重症度判定(バイタルサイン)”の視点

こんにちは。津かわもと救急・内科クリニック院長の川本です。

季節の変わり目、当院には「風邪だと思うのですが……」と受診される患者さんが多くいらっしゃいます。しかし、一見「風邪」に見える症状の中に、実は「肺炎」が隠れていることは決して珍しくありません。

私たち救急医は、こうした見逃しを防ぐために、単なる「診断名」をつけるだけでなく、「重症度判定(バイタルサインの評価)」という視点を非常に大切にしています。

今回は、救急の最前線で培った「ただの風邪」と「肺炎」を見分けるための秘訣をお話しします。

1. 症状だけでは「風邪」と「肺炎」は区別できない?

一般的な風邪(上気道炎)と肺炎は、実は症状が非常によく似ています。

  • 共通する症状: 発熱、咳、痰、のどの痛み、倦怠感

「痰が出るから肺炎」「鼻水が出るから風邪」といった自己判断は禁物です。特に高齢者や糖尿病などの持病がある方、免疫力が低下している方の場合、強い症状が出ずに「軽い風邪」のように見える肺炎が存在します。

2. 救急医が最初に見る「生きている証(バイタルサイン)」

救急医療において、私たちはまず「この患者さんは今すぐ命に危険があるか?」を判断します。その最大の根拠となるのがバイタルサインです。

バイタルサインとは、まさに「生きている証」。患者さんが亡くなってしまうと無くなってしまうものです。

※ちなみに、体重はバイタルサインではありません。亡くなっても体重は変わらないからです。

私たちが肺炎を疑う際、特に重視するのが以下の指標です。

  • 呼吸数(息の速さ): 肺炎になると、酸素を取り込もうとして無意識に呼吸が速くなります。
  • 酸素飽和度(SpO₂): 血液中の酸素が足りているか。
  • 脈拍・血圧・体温

実は日本の外来診療では「呼吸数」まで細かく測定されないことも多いのですが、多くの研究で「呼吸数は肺炎の重症度を示す最も重要な指標」とされています。当院では、こうした基本的な数値を疎かにしません。

3. 診察室に入った瞬間の「見た目(直感)」の正体

長年救急医療に携わっていると、診察室に入ってきた患者さんを見た瞬間に「この人は何かおかしい(重症だ)」という直感が働くことがあります。

これは単なる勘ではなく、専門医が経験的に「見た目(General Appearance)」から多くの情報を拾い上げている結果です。

  • 息苦しそうに肩で息をしていないか
  • 会話が途切れ途切れになっていないか
  • 顔色が土気色になっていないか

これらの情報は、時に血液検査の結果を待つよりも早く、的確に重症度を教えてくれます。

4. 検査で初めてわかる「隠れ肺炎」を防ぐ

診察やバイタルサインで「怪しい」と感じた場合、当院では速やかに精密検査を行います。

  • 胸部レントゲン・CT検査: 聴診器では音が聞こえない場所にある肺炎を特定します。
  • 血液検査: 炎症の強さを数値で評価します。

特に高齢の方や初期の肺炎では、「音(聴診)は正常なのに、画像(CT)を撮ったら真っ白だった」というケースも存在します。当院では前回のブログでもお伝えした通り、「専門医によるトリプルチェック」体制で、こうした隠れ肺炎の見逃しを防いでいます。

まとめ:「いつもと違う」は、身体からのサインです

次のような症状がある場合は、肺炎の可能性があります。早めの受診をご検討ください。

  • 動くとすぐに息が切れる、苦しい
  • 高熱が3日以上続く、または一度下がってまた上がった
  • 咳が激しく、夜も眠れない
  • (高齢者の場合)熱はないが、なんとなく元気がない、食欲がない

津かわもと救急・内科クリニックでは、救急医としての経験を活かし、「重症になる前に診る」ことを徹底しています。

「風邪だと思うけれど、何かいつもと違う気がする……」

その直感を大切にしてください。私たちはその不安に寄り添い、根拠のある診察で皆さまの安心を守ります。

津かわもと救急・内科クリニック

三重県津市で風邪・発熱・肺炎などの内科診療、救急対応を行っています。

体調に不安がある方はお気軽にご相談ください。

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