• 1月 8, 2026
  • 12月 26, 2025

【研究と診療の両立を目指して】不幸な患者さんを減らすために|津かわもと救急・内科クリニックの診療理念

三重大学退職と若手医師たちとの送別会

先日、長年勤めた三重大学を退職いたしました。これまで研究を一緒に進めてきた若手医師たちが送別会を開いてくれ、その席で改めて「自分はなぜ研究を続けてきたのか」「これからもなぜ続けたいのか」を深く考える時間を持つことができました。

今回は、共に学んだ若手医師たちに向けて、そしてこれから津かわもと救急・内科クリニックへ来院される患者さんに当院の診療姿勢を知っていただくために、私が勤務医の頃から大切にしてきた「研究に対する考え方」を書きたいと思います。

救急医療の現場で直面する「限界」と「問い」

救急医療の現場では、患者さんの状態が一瞬で良くも悪くも変化します。 治療が奏功し、目の前で劇的に回復していく姿を見るとき、救急医として大きなやりがいを感じます。

しかし一方で、全力を尽くしても助けられない患者さんがいるのも現実です。

  • 重い感染症で全身に強い炎症が起こり、多臓器不全に至る方
  • 急性期を乗り越えたにもかかわらず、その後の経過で原因がはっきりしないまま亡くなられる方

そうした患者さんを前にすると、私たちは常に自問自答することになります。 「本当にこれでよかったのか」 「まだ医学的に分かっていないことがあるのではないか」 と、自分自身に問い続ける日々です。

「研究のための研究」ではなく「患者さんのための研究」へ

医学生や若手医師の頃、NatureCellScienceといった世界的な学術誌を読みながら、ふと疑問を抱いたことはないでしょうか。

「この研究は、結局どこで患者さんの役に立つのだろう」

また逆に、臨床研究や症例報告において、結果は示されていても「なぜその結果に至ったのか」というメカニズムの説明に物足りなさを感じたことはないでしょうか。「患者さんの体の中で、実際には何が起こっていたのか」を知りたいという渇望です。

私は、日々の診療で感じるこうした疑問こそが、研究の出発点であるべきだと考えるようになりました。 研究のための研究ではなく、あくまで患者さんのための研究であるべきです。

Physician-Scientist(臨床研究医)という生き方

基礎医学と臨床現場をつなぎ、目の前の疑問を少しずつ解き明かしていくことが、医師の重要な役割の一つだと私は思っています。

大学病院のような恵まれた環境で育まれるのが、Physician-Scientist(臨床研究医)という存在です。

  1. 臨床現場で生まれた疑問を研究室に持ち込む
  2. 基礎研究でメカニズムを解明する
  3. 得られた知見を再び臨床(患者さんの治療)に還元する

この循環(トランスレーショナルリサーチ)によってこそ、不幸な患者さんを少しずつ、着実に減らしていくことができると信じています。

津かわもと救急・内科クリニックが開業後も目指す医療

三重大学で育まれた「臨床研究医(Physician-Scientist)」としての志は、開業後も決して揺らぐことはありません。

その具体的な実践として、2026年1月以降も三重大学大学院医学系研究科のリサーチアソシエイトとして大学に籍を置き、大学院時代の恩師である三重大学分子病態学・島岡要教授のご指導のもと、研究活動を継続いたします。

津かわもと救急・内科クリニックでは、日々の丁寧な診療を行うことはもちろん、「なぜこうなったのか」「次に活かせることは何か」を常に問い続ける姿勢を貫きます。

目の前の一人の患者さんと真摯に向き合い、その経験を医学の発展、そして次の誰かの未来へとつなげていく。 それこそが、私が目指す「医療」であり、これからの「地域医療」のあるべき姿だと信じています。

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