• 2026年6月18日
  • 2026年5月4日

【健康診断で便潜血陽性と言われたら?】大腸内視鏡は必要か?  |津かわもと救急・内科クリニック

健康診断の結果で「便潜血陽性(要精密検査)」という通知を受け取ると、多くの方が「もしかして大腸がん?」と大きな不安を感じることでしょう。

しかし、まずお伝えしたいのは、「便潜血陽性=がん確定」ではないということです。大切なのは、過度に恐れることではなく、適切なステップを踏んで原因を特定すること。

先日外来をしていて患者さんからタイトルと同様の質問をうけましたので、解説したいと思います。

1. 便潜血検査の目的とは?

便潜血検査は、便に含まれる目に見えない微量の血液を検知する検査です。この検査の役割は、「大腸がんの可能性がある人を効率よく見つけ出すこと(スクリーニング)」にあります。

つまり、この段階ではあくまで「何らかの理由で出血している可能性がある」というサインであり、病名を特定するものではありません。

便潜血が陽性になる主な原因

血液が混じる理由は多岐にわたります。

  • 痔(内痔核など): 最も頻度の高い原因の一つです。
  • 大腸ポリープ: 将来がん化するリスクのあるポリープも出血の原因になります。
  • 大腸炎: 感染性、虚血性、あるいは潰瘍性大腸炎などの炎症性疾患。
  • 大腸がん: 腫瘍表面からの出血。

ここで重要なのは、「便潜血検査の結果だけでは、出血の原因が『痔』なのか『がん』なのかを区別できない」という点です。

2. 日本のガイドラインが推奨する「次の一手」

日本消化器内視鏡学会のHPのQandAでも、1回でも便潜血検査で陽性となった場合、「全大腸内視鏡検査」による精密検査を強く推奨しています。

https://www.jges.net/citizen/faq/large-intestine_09

3. なぜ「精密検査」を後回しにしてはいけないのか?

「痛そうだから」「恥ずかしいから」といった理由で検査を先延ばしにすることには、明確なリスクがあることが研究で示されています。

大腸がんによる死亡リスクが約2倍に

大規模な調査によると、便潜血陽性指摘後に精密検査を受けなかった人は、受けた人に比べて大腸がんで亡くなるリスクが約2倍高くなると報告されています。

https://ascopost.com/news/may-2022/colonoscopy-after-positive-fit-test-may-reduce-risk-of-death-from-colorectal-cancer

「いつ受けるべきか?」という問いへの答えは、「なるべく早く、遅くとも数か月以内」です。地域の医療機関の予約状況を確認し、早めにスケジュールを確保することが、将来の健康を守る最も確実な方法です。

4. よくある質問(FAQ)

Q1. 便潜血陽性だと、がんの確率は高いのでしょうか?

陽性者のうち、実際にがんが見つかる割合は数%以下と言われています。決して高い数字ではありませんが、「ゼロ」ではありません。内視鏡で「がんではない」と白黒はっきりさせることは、最大の安心材料になります。

Q2. 痔があるから、検査は不要だと思いたいのですが…

自己判断で「今回の陽性は痔のせいだ」と決めつけるのは非常に危険です。「痔と大腸がんが併存している」可能性を否定できないからです。まずは内視鏡で大腸全体を確認し、他の原因がないことを確かめましょう。

Q3. 大腸内視鏡検査が怖いです。

「痛い」「苦しい」というイメージがあるかもしれませんが、現在は多くの医療機関で鎮静剤(静脈麻酔)を使用した、寝ている間に終わるような工夫がなされています。また、検査中に見つかったポリープをその場で切除することで、将来の大腸がんを未然に防げるという大きなメリットもあります。CTを要望される患者様もいらっしゃいますが、当院ではCTよりも大腸内視鏡検査をおすすめしています。大腸内視鏡検査は診断と治療が一体となっており、CT検査では見ることのできない病変を直視できるというメリットがあります。

まとめ:当院からあなたへ

健康診断の「便潜血陽性」は、体が発してくれた「念のため、中を確認して」という大切なサインです。

  • 便潜血陽性は「要確認」のサイン。
  • 原因を特定するには、大腸内視鏡検査が不可欠。
  • 放置は将来のがん死亡リスクや進行リスクを高める。

このステップを正しく踏むことが、大腸がんで命を落とすリスクを最小限にするための確実な方法です。

一方で、精密検査(内視鏡)に踏み切れない理由には、検査への不安だけでなく、交通手段などの個人的な事情や、医師による十分な説明の有無など、多くの要因が関与しているという報告もあります。

私の医師としての使命は、皆さまに検査の意義を正しくお伝えし、納得して精密検査を受けていただくための「橋渡し」をすることだと考えています。

当院では、便潜血検査の実施や、結果に基づいた適切な医療機関(内視鏡専門医)へのご紹介を責任を持って行っています。 先日も、精密検査が必要な患者様を専門医療機関へご紹介させていただきました。

「便潜血の検査をどこで受ければいいのか」「その後の大腸内視鏡検査が怖くて踏み出せない」といった不安や疑問があれば、まずは当院へお気軽にご相談ください。あなたの健康を守るための最適なルートを、一緒に検討しましょう。

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