• 2026年6月11日
  • 2026年6月10日

「水を飲めば大丈夫」ではありません ― 熱中症は腎臓・肝臓を傷つける病気です │津かわもと救急・内科クリニック

津市でも気温の高い日が続くようになりました。当院にも1週間に数名の熱中症患者さんが来院するようになりました。熱中症というと「水分をとって涼めば治るもの」というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。けれども、熱中症は進行すると 腎臓や肝臓、血液のかたまりやすさにまで障害をおよぼす病気 です。

当院は救急と内科の両方を診るクリニックです。「これくらいで受診していいのかな」と迷う段階こそ、自宅で様子をみることができるのか、入院が必要なのか、安全に見極めるお手伝いができます。今日は、ご家庭で判断していただくためのポイントをまとめました。


熱中症は「脱水」だけの病気ではありません

軽い熱中症は、涼しい場所での休息と、水分・塩分の補給で良くなります。経口補水液(ORS)が手元にあれば理想的です。(当院でも冷蔵庫にOS-1を常に保管しています。)

一方で、体温が高い状態が続くと、体の中では次のようなことが起こります。

  • 腎臓の障害(急性腎障害) ― 尿が減る、濃くなる
  • 筋肉が溶ける(横紋筋融解症) ― 強い筋肉痛、赤褐色の尿
  • 肝臓の障害
  • 血液が固まりやすくなる(DIC)ーその結果臓器障害が進行します。

つまり熱中症は、「水分を飲めば治る軽いもの(軽症)」から「臓器を守るために急いだ治療が必要なもの(重症)」まで、幅の広い病気なのです。


こんな症状があれば、当院にご相談ください

ご自宅で次のように分けて考えていただくと安心です。

◯様子を見ながら、心配なら受診を

意識がはっきりしていて、会話ができ、水分が飲めて、吐いていない場合。涼しい部屋で休み、こまめに水分と塩分をとってください。それでも改善しない、だるさが残るときは受診をおすすめします。

◯早めの受診をおすすめする症状

次のようなときは、採血で腎臓や筋肉の状態を確認したり、点滴が必要になることがあります。当院でその場で評価できます。

  • 強いだるさ・脱力が続く
  • 尿が少ない、色が濃い
  • 吐き気が強く、水分があまり飲めない
  • 筋肉痛が強い、尿が赤茶色っぽい
  • 持病がある(後述)

◯ためらわず救急要請(119番)を

以下は重症のサインです。患者さんの冷やしながら救急車を待ってください。 救急隊や病院に着くまでの「冷却」が、その後を大きく左右します。

  • 呼びかけへの反応が鈍い、会話がおかしい、ぼんやりする
  • けいれんしている
  • 体が非常に熱く、汗をかいていない
  • 水分がまったく飲めない、ぐったりして立てない

「解熱薬」では熱中症の熱は下がりません

ここはとても大切なところです。

かぜの発熱と、熱中症の体温上昇は しくみがまったく違います。 かぜは体が自分で体温を上げているので解熱薬が効きますが、熱中症は外からの暑さで体が冷やせなくなった状態です。

そのため、

  • カロナール(アセトアミノフェン)
  • ロキソニンなどの痛み止め(NSAIDs)

といった病院でもらう解熱・鎮痛薬は、熱中症の熱を下げる目的では効果がなく、かえって腎臓に負担をかけることがあります。

熱中症で大切なのは、お薬ではなく、

涼しい場所へ移る → 衣服をゆるめる → 体を冷やす → 水分と塩分をとる

という基本的な対応です。首すじ・わきの下・足のつけ根を保冷剤などで冷やすと効果的です。


当院が大切にしている「腎臓を守る」視点

熱中症で見落とされがちなのが 腎臓へのダメージ です。近年の研究でも、暑さにさらされることが急性腎障害や慢性的な腎機能低下につながると、くり返し報告されています。

当院は救急科・内科クリニックですので、必要に応じて

  • 腎機能(BUN・クレアチニン・eGFR)
  • 電解質(ナトリウム・カリウム)
  • 筋肉が溶けていないか(CK)
  • 肝機能(AST・ALT・T-bil)

などを採血で確認できます。「点滴をするほどなのか、帰宅して様子を見てよいのか」を、数字で見ながら判断できるのが強みです。重症が疑われる場合は、CT検査や救急搬送の判断も院内で行えます。


特に注意していただきたい方

次に当てはまる方は、症状が軽くても重症化しやすい ため、早めのご相談をおすすめします。

  • ご高齢の方(暑さやのどの渇きを感じにくくなります)
  • 慢性腎臓病(CKD)、心不全、糖尿病のある方
  • 利尿薬、SGLT2阻害薬、痛み止め(NSAIDs)を飲んでいる方
  • 屋外で作業・運動をされる方

これらの方は、のどが渇く前からこまめに水分をとり、暑い時間帯の活動を避けてください。


2025年から「職場の熱中症対策」が義務になりました

2025年6月から、一定の暑さの環境で働く職場には、熱中症が疑われる人への対応手順(作業からの離脱・身体の冷却・医療機関の受診・緊急連絡網など)を整え、従業員に周知することが事業者の義務となりました。

津市・松阪市・鈴鹿市・亀山市などで事業を営まれている方で、

  • 体制づくりに不安がある
  • 従業員の健康管理を相談したい
  • 企業健診を検討している

といったご要望がありましたら、当院までお気軽にご相談ください。


毎日の「暑さ指数(WBGT)」を活用しましょう

環境省の熱中症予防情報サイトでは、地域ごとの 暑さ指数(WBGT) や熱中症警戒アラートが確認できます。WBGTが高い日(31以上)は、屋外での運動や作業は原則中止が望ましいとされています。

警戒アラートが出ている日は、

  • エアコンを使う
  • こまめに休憩する
  • 水分・塩分をとる
  • ご高齢の方やお子さんに声をかける

ことを意識してお過ごしください。


おわりに

熱中症は、早く気づいて適切に対応すれば防げる病気です。けれども「水を飲んだから大丈夫」と無理をして、腎臓や筋肉を傷つけてしまう方も少なくありません。

「受診すべきか迷う」その段階で、私たちにご相談ください。軽症の方には安心して帰っていただけるよう、重症が疑われる方には冷却と適切な搬送まで、責任をもって対応いたします。

暑い夏を、どうぞ安全にお過ごしください。


津かわもと救急・内科クリニック 診療日:火・木・金・土・日(午前/午後)

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