- 2026年5月28日
【犬や猫に噛まれたら?】「放置厳禁」な理由と、すぐに行うべき応急処置│津かわもと救急・内科クリニック

「飼い犬に少し噛まれただけだから」「猫に引っかかれたけど血は止まったし……」と、動物による傷を軽く考えてしまう方は少なくありません。
しかし、医学的な視点で見ると、動物による咬み傷(咬傷:こうしょう)は見た目以上に深く、深刻な感染症を引き起こすリスクを秘めています。今回は、津かわもと救急・内科クリニックの院長として、エビデンスに基づいた「正しい初期対応」と「受診の目安」を解説します。
1. まず最初に「これだけは必ず」やってください!
動物に噛まれたり引っかかれたりした際、最も重要なのは「傷口の徹底的な洗浄」です。
- 石けんと流水で5分以上洗う: 傷口の表面だけでなく、中に入り込んだ唾液や汚れを洗い流すイメージで、しっかり洗いましょう。
- 強くこすらない: 組織を傷めないよう、流水で流し出すのがコツです。
世界保健機関(WHO)やCDC(アメリカ疾病予防管理センター)のガイドラインでも、この早期洗浄が狂犬病や細菌感染を予防する最も有効な手段の一つとされています。
2. なぜ「猫」に噛まれると危険なのか?
実は、犬よりも「猫」に噛まれた時の方が、重い感染症になりやすいと言われています。
- 針のような鋭い歯: 猫の歯は細く鋭いため、見た目の傷口は小さくても、菌が皮膚の奥深く(関節や腱など)まで直接送り込まれてしまいます。
- パスツレラ菌: 犬や猫の口内にいる菌ですが、特に猫咬傷の多くで検出されます。噛まれてから数時間〜1日という短時間で、激しい腫れや痛み、膿を引き起こすのが特徴です。
3. すぐに受診が必要な「レッドフラッグ」
以下に当てはまる場合は、自己判断せず、できるだけその日のうちに当院(救急・内科)などの医療機関を受診してください。
【特に注意が必要な部位と状況】
- 手・指・顔・足: 神経や腱が表面に近く、感染すると後遺症のリスクがあります。
- 猫に噛まれた: 前述の通り、感染リスクが非常に高いです。
- 傷が深い・裂けている: 縫合が必要な場合や、深部の損傷が疑われます。
【全身のサイン】
- 赤み、熱感、腫れが広がってきた
- 発熱、しびれ、動かしにくさがある
- 糖尿病や肝疾患、免疫が低下している方: Capnocytophaga(カプノサイトファーガ)等の菌により、重症化するリスクが非常に高いため、一刻も早い受診が必要です。
4. 病院で行う治療:抗菌薬とワクチンの重要性
診察では、傷の状態だけでなく「いつ、どの動物に、どこを噛まれたか」を確認し、最適な治療を選択します。
抗菌薬の処方
すべての傷に必要とは限りませんが、「手・顔の傷」「深い傷」「免疫が低い方の傷」などでは、感染を未然に防ぐための予防的抗菌薬(アモキシシリン・クラブラン酸など)が強く推奨されています。
破傷風と狂犬病の対策
- 破傷風: 土壌や動物の口内にいる菌です。ワクチンの接種歴を確認し、必要に応じて追加接種を行います。
- 狂犬病: 日本国内での発生は長年ありませんが、海外(特に東南アジアなど)で動物に接触した場合は、発症すれば致死率ほぼ100%の極めて危険な疾患です。暴露後ワクチンによる予防が不可欠です。
5. まとめ:健やかな毎日を守るために
動物咬傷は、「初期対応の早さ」がその後の経過を左右します。
- まずは流水と石けんでよく洗う。
- 「たかが傷」と過信せず、深さや部位を確認する。
- 感染サイン(腫れ・熱・痛み)があればすぐに受診。
当院では、救急・内科の専門性を活かし、傷の処置から感染症管理まで一貫して対応しております。津市近隣で動物による怪我でお困りの際は、無理をせずお早めにご相談ください。