- 2026年7月9日
- 2026年5月30日
【FIB-4】肝臓の健康は「数値」で見守る。FIB-4指数で知る肝線維化のリスクと対策 │津かわもと救急・内科クリニック
肝臓は「沈黙の臓器」。かなり進行するまで症状が出にくく、気づいたときには肝硬変や肝がんに至っていることも少なくありません。
私はこれまで救急医療の最前線で、数多くの重症患者(肝損傷、肝硬変、肝不全)さんを診てきました。当時は目の前の命を救うことが最優先で、「肝臓の線維化(硬さ)」を丁寧に説明する余裕は正直ありませんでした。
しかし、地域のかかりつけ医(プライマリ・ケア医)として診療する今、私の考えは変わりました。肝臓を「悪くさせない」ことこそが、未来の命を守る最も現実的な戦略です。
そのために、当院では「FIB-4(フィブフォー)指数」を積極的に活用しています。
1. FIB-4指数とは? 採血だけでわかる「肝臓の硬さ」
FIB-4指数は、特別な画像検査をせずとも、一般的な健康診断の採血データだけで「肝臓の線維化リスク」を可視化できる指標です。
具体的には、以下の4つの項目を組み合わせて計算します。
- 年齢
- AST(GOT)
- ALT(GPT)
- 血小板数
計算式は以下の通りです。

もともとはC型肝炎のために開発されましたが、現在ではMASLD(脂肪性肝疾患/旧NAFLD)を含む、幅広い慢性肝疾患の評価に有用であることが世界的に認められています。
2. なぜFIB-4が必要なのか?(国際的なエビデンス)
FIB-4が世界中のガイドラインで推奨される理由は、「進行した肝線維化を見逃さない能力」が高いからです。
- 進行線維化の除外: Sterlingらの研究(2006年)により、数値が低ければ進行した線維化の可能性が極めて低いことが示されました。
- 長期予後の予測: Anguloら(2013年)は、脂肪性肝疾患においてFIB-4が将来の肝関連イベントや死亡リスクと密接に関連することを報告しています。
- 国際ガイドラインの推奨: 欧州肝臓学会(EASL)や米国肝臓学会(AASLD)では、一次診療の場で高リスク患者を効率的に拾い上げるツールとしてFIB-4を推奨しています。
特に重要なのは、「数値が低ければ、ひとまず安心」と科学的な根拠を持って説明できる点にあります。
3. FIB-4指数の見方とカットオフ値
一般的に、以下の数値を目安として評価します。
| FIB-4指数の値 | リスク評価 | 今後の対応 |
| 1.3 未満 | 低リスク | 定期的な経過観察 |
| 1.3 〜 2.67 | 中間リスク | 詳しく追加評価・経過観察 |
| 2.67 以上 | 高リスク | 専門医による精密検査を検討 |
※高齢の方(特に65歳以上)は数値が高く出やすいため、年齢に応じた適切な解釈が必要です。
4. 「肝機能が正常=安心」ではない時代へ
健康診断で「AST・ALTが基準値内だから大丈夫」と言われたことはありませんか?
実は、脂肪性肝疾患(MASLD)の場合、トランスアミナーゼの値が正常であっても、水面下で線維化が進んでいるケースが珍しくありません。
FIB-4は、これまでの健診では見逃されがちだった「将来の重症化予備軍」を拾い上げるための、非常に現実的で科学的なツールなのです。
当院の取り組み:健診データを「未来の健康」へつなぐ
津かわもと救急・内科クリニックでは、単に結果を渡すだけではなく、以下のようなアプローチを行っています。
- 数値の見える化: 当院で受診された方はもちろん、他院の健診結果をお持ちいただければ、その場でFIB-4を算出します。
- 具体的な生活改善案: 数値をもとに、体重管理、飲酒、生活習慣病(糖尿病・脂質異常症)のコントロールについて、未来の肝臓を守るための作戦を一緒に考えます。
- 適切な橋渡し: 精密検査が必要と判断した場合は、速やかに専門医療機関へご紹介します。
まとめ:肝臓の未来を一緒に考えましょう
肝臓の線維化は、一度進みきってしまうと元に戻すのは困難です。しかし、早い段階で気づくことができれば、進行を食い止めることは十分に可能です。
FIB-4は、あなたの肝臓の現在地を教えてくれる「地図」のような存在です。
健診結果をただの紙切れで終わらせず、当院と一緒に「未来の自分」を守る一歩を踏み出してみませんか?不安なことがあれば、いつでもご相談ください。