• 2026年6月4日
  • 2026年5月30日

50歳を過ぎたら要注意。帯状疱疹の痛みと、予防ワクチン「シングリックス」について │津かわもと救急・内科クリニック

最近、テレビCMなどでも「帯状疱疹」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

当院の救急・内科・麻酔科外来でも、

「胸が痛い!」という主訴で来院され心筋梗塞かなと最初は思うのですが、よくよく話をきくと、

「体の片側がピリピリ痛い」
「背中や胸に水ぶくれが出てきた」
「夜も眠れないほど痛い」

といった帯状疱疹の症状で受診される方が増えてきました。

特に5月末から夏にかけては、帯状疱疹が少し増えてくる印象があります。日本のデータでも、帯状疱疹は夏に多く、冬に少ない傾向があり、6月から8月の夏期は冬期より発症が多いと報告されています。また、近年の医療ビッグデータでも、7月から10月にかけて患者数が増える傾向が示されています。

今回は、発症すると強い痛みを伴う帯状疱疹と、それを予防するためのワクチンシングリックスについてお話しします。


帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、子どもの頃に感染した水ぼうそうのウイルスが原因で起こります。

水ぼうそうが治った後も、ウイルスは完全に体から消えるわけではありません。神経の奥に潜んでいて、加齢・疲労・ストレス・睡眠不足などで免疫力が低下したときに、再び活動を始めます。

その結果、神経に沿って、

  • 体の片側だけのピリピリした痛み
  • 赤い発疹
  • 水ぶくれ
  • 焼けるような痛み
  • 服が触れるだけでも痛い症状

が出てきます。

発疹より先に痛みだけが出ることもあり、最初は「筋肉痛」「肋間神経痛」「肩こり」「腰痛」と思われることもあります。


5月末から夏に帯状疱疹が増えやすい理由

帯状疱疹は一年中起こります。
ただし、実臨床では5月末から夏にかけて増え始めることがあります。

理由としては、

  • 新年度からの疲れがたまる
  • 連休明けで生活リズムが崩れる
  • 気温差や湿度で体力を消耗する
  • 睡眠不足になりやすい
  • 夏バテで免疫力が落ちる

といった要素が関係している可能性があります。

5月末に「帯状疱疹が増えてきた」と感じるのは不自然ではありません。
ただし、本格的には6月以降、特に7月から8月、場合によっては秋口まで注意が必要です。


帯状疱疹で怖いのは「皮膚」よりも「痛み」です

帯状疱疹は、皮膚の病気と思われがちですが、実際には神経の炎症が大きな問題です。

皮膚の水ぶくれは2から4週間ほどで改善することが多いですが、神経のダメージが残ると、皮膚が治った後も痛みが続くことがあります。

これを帯状疱疹後神経痛といいます。

帯状疱疹後神経痛では、

  • 何か月も痛みが続く
  • 夜眠れない
  • 服が触れるだけで痛い
  • 入浴や着替えがつらい
  • 生活の質が大きく下がる

といった状態になることがあります。

特に50歳以上では、帯状疱疹後神経痛のリスクが高くなります。
そのため、帯状疱疹はなってから治療する病気であると同時に、なる前に予防する価値が高い病気です。


当院で接種できる帯状疱疹ワクチン「シングリックス」

帯状疱疹は、ワクチンで予防できる病気です。

当院では、帯状疱疹予防ワクチンとして、シングリックスの接種を行っています。

シングリックスは不活化ワクチンであり、従来の生ワクチンと比べて高い予防効果が期待できます。厚生労働省の情報でも、組換えワクチンであるシングリックスは、接種後1年時点で9割以上、5年時点で9割程度、10年時点でも7割程度の予防効果が示されています。


シングリックスのメリット

1. 予防効果が高い

シングリックスは、50歳以上の方で高い帯状疱疹予防効果が報告されています。
添付文書上も、50歳以上を対象とした国際共同第3相試験で高い有効性が示され、70歳以上でも約90%の有効性が報告されています。

「帯状疱疹になりたくない」
「家族が帯状疱疹でつらそうだったので不安」
「痛みが長引くのが怖い」

という方には、非常に重要な選択肢です。


2. 効果が長く続く

シングリックスは、接種してすぐだけでなく、長期にわたって効果が続くことが期待されています。

厚生労働省の情報では、組換えワクチンは接種後10年時点でも7割程度の予防効果が示されています。

費用はかかりますが、長く予防効果が期待できる点は大きなメリットです。


3. 帯状疱疹後神経痛を防ぐ効果が期待できる

帯状疱疹で最も避けたいのは、皮膚が治った後も痛みが続く帯状疱疹後神経痛です。

厚生労働省は、帯状疱疹後神経痛に対する効果について、組換えワクチンでは接種後3年時点で9割以上と報告しています。

つまり、シングリックスは単に「発症を減らす」だけでなく、帯状疱疹による長引く痛みを防ぐ意味でも重要です。


なぜシングリックスは2回接種が必要なのか

シングリックスは、2回接種が必要です。

通常、1回目の接種から2か月後に2回目を接種します。
添付文書上も、50歳以上では0.5mLを2回、通常2か月の間隔で筋肉内に接種するとされています。

「なぜ2回も打つ必要があるのですか?」
と聞かれることがあります。

理由は、1回だけでは十分な免疫がつきにくく、2回接種することで、より強く、より長く帯状疱疹を防ぐ免疫をつけるためです。

1回目で免疫を刺激し、2回目でその免疫をしっかり高めるイメージです。


接種費用について

当院でのシングリックス接種は以下の通りです。

シングリックス
1回 20,000円(税込)
全2回接種:合計 40,000円(税込)

自費診療のため、費用は決して安くありません。

しかし、帯状疱疹は一度発症すると、強い痛みで仕事や日常生活に支障が出ることがあります。さらに、帯状疱疹後神経痛になると、数か月以上痛みに悩まされることもあります。

そのリスクを考えると、シングリックスは将来の痛みを防ぎ、生活の質を守るための予防医療と考えることができます。


接種後の副反応について

シングリックスは効果が高い一方で、接種後に副反応が出ることがあります。

代表的な副反応は、

  • 注射部位の痛み
  • 赤み
  • 腫れ
  • だるさ
  • 筋肉痛
  • 発熱
  • 頭痛

などです。

多くは数日以内に改善します。
ただし、強いアレルギー症状、息苦しさ、全身のじんましん、強い体調不良がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。


特に接種を考えてほしい方

以下に当てはまる方は、帯状疱疹ワクチンを検討する価値があります。

  • 50歳以上の方
  • 最近疲れやすい方
  • 睡眠不足が続いている方
  • 糖尿病などの基礎疾患がある方
  • 帯状疱疹になった家族や知人を見て不安な方
  • 仕事や介護などで長期間休みにくい方
  • 帯状疱疹後神経痛をできるだけ避けたい方

特に50歳を過ぎると、帯状疱疹のリスクは上がってきます。
「まだ大丈夫」と思っているうちに発症することもあるため、元気なうちに予防しておくことが大切です。


こんな症状があれば早めに受診してください

帯状疱疹は、早期治療が重要です。

以下のような症状がある場合は、早めにご相談ください。

  • 体の片側だけがピリピリ痛い
  • 胸、背中、わき腹に帯状の発疹がある
  • 水ぶくれが出てきた
  • 顔や目の周りに発疹がある
  • 耳の周囲が痛い
  • 頭痛や顔面の違和感を伴う
  • 服が触れるだけで痛い

抗ウイルス薬は、一般的に発症早期、特に72時間以内に開始することが重要です。
顔面や眼の周囲に出た場合は、視力障害などのリスクもあるため、より注意が必要です。


まとめ

帯状疱疹は、50歳を過ぎると誰にでも起こりうる病気です。

特に5月末から夏にかけては、疲労や気候の変化により体力が落ちやすく、帯状疱疹が増えやすい時期と考えられます。

帯状疱疹は、発症すると強い痛みを伴うだけでなく、帯状疱疹後神経痛として長く痛みが残ることがあります。

シングリックスは、

  • 高い発症予防効果
  • 長期間の効果
  • 帯状疱疹後神経痛の予防効果

が期待できるワクチンです。

50歳以上の方、帯状疱疹の痛みを予防したい方は、津かわもと救急・内科クリニックまでお気軽にご相談ください。


津かわもと救急・内科クリニック

院長 川本 英嗣

住 所 〒514-0125
三重県津市大里窪田町字下沢2862-1

TEL 059-2532119(ニッコリ診ます- 津の119)

津かわもと救急・内科クリニック 059-253-2119 ホームページ