• 2026年7月16日
  • 2026年6月10日

【早朝・深夜の突然の側腹部痛】それ、尿管結石かもしれません|津かわもと救急・内科クリニック

1. 夜中や明け方に襲う「悶絶するような痛み」

夜中や明け方、突然の激しい側腹部痛(わき腹の痛み)で目が覚める。吐き気を伴い、どう動いても楽な姿勢が見つからない……。

私が病院で当直していると、深夜に救急隊から

「急激な側腹部痛。バイタルサインは安定していますが、疼痛が非常に強いです」

というホットラインが入ることがよくあります。この一言を聞いた時、私たち救急医が真っ先に疑うのが「尿管結石」です。

2. なぜ尿管結石は「夜間〜早朝」に多いのか?

尿管結石の痛みがこの時間帯に集中するのは、単なる偶然ではなく、人間の生理学的なメカニズムに基づいています。

  • 尿の濃縮: 就寝中は水分摂取が途絶え、さらに抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が増えるため、尿が濃縮され結晶化しやすくなります。
  • 尿管蠕動の変化: 睡眠中や明け方の自律神経の変化に伴い、尿管の動きが変わり、石が詰まりやすくなります。
  • 脱水傾向: 夜間の発汗などにより相対的な脱水状態となり、結石が尿管壁を刺激しやすくなります。

実際、多くの臨床データで深夜から午前10時頃までに救急受診が集中することが示されています。

3. 治療の第一歩:まずは「痛み」を鎮める

尿管結石の痛みは「結石そのものが痛い」のではなく、結石で尿の流れがブロックされ、腎盂(じんう)内の圧力が急上昇することで起こります。

鎮痛の第一選択は「NSAIDs」

現在、国内外のガイドライン(日本泌尿器科学会『尿路結石症診療ガイドライン』等)において、急性期の疼痛管理にはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が最も推奨されています。

  • 作用機序: 炎症を抑えるだけでなく、プロスタグランジンの合成を抑制し、尿管平滑筋の痙攣を鎮め、腎血流量を減らすことで腎盂内圧を下げる効果があります。
  • 代表的な薬剤: ジクロフェナク(坐薬)やロキソプロフェン(内服)。

※アセトアミノフェンやブスコパンよりも、尿管結石の鋭い痛みにはNSAIDsが一貫して高い有効性を示しています。

4. 排石を助ける治療(MET:薬物排石療法)

「石を自然に出す」ためのサポートとして、α1遮断薬を用いた治療を検討します。

α1遮断薬の効果とエビデンス

下部尿管(膀胱に近い側)に 5∼10mm 程度の結石がある場合、α1遮断薬(タムスロシン等)の投与が有効です。

  • 期待できる効果: 排石率の向上、排石までの期間短縮、鎮痛剤の使用回数の減少。
  • 適応の判断: 5 mm 以下の小結石では自然排石率がもともと高いため、メリットは限定的です。石のサイズと位置を正確に診断した上で処方します。

5. 自然に石は出るか?【サイズと場所の重要性】

自然排石の可能性は、「サイズ」と「部位」でほぼ決まります。

結石のサイズ自然排石率(目安)
5mm以下約 70 〜 90%
5〜10mm約 30 〜 60%
10mm超自然排石は稀(外科的処置の検討)

また、結石が膀胱に近い(下部尿管にある)ほど、スムーズに排出される可能性が高まります。

6. 当院(津かわもと救急・内科クリニック)での診療方針

当院では、迅速な診断と適切な疼痛管理を重視しています。

  1. 尿検査: 血尿の有無、および尿路感染症(白血球・亜硝酸塩)をチェックします。
  2. 超音波検査(エコー): 腎臓の腫れ(水腎症)の程度をリアルタイムで確認します。
  3. CT検査: 結石の正確なサイズ、硬さ、位置を特定します。

注意すべき「レッドフラッグ」

単なる痛みだけでなく、「高熱」を伴う場合は要注意です。これは「閉塞性尿路感染症」という緊急事態の可能性があり、放置すると敗血症に進行するリスクがあるため、即座に専門的な処置が必要です(腎臓と膀胱をステントでトンネルを作って尿を排泄する手術が必要になります)。

まとめ|夜中の側腹部痛、我慢しないでください

尿管結石は、適切な診断と鎮痛コントロールを行えば、過度に恐れる病気ではありません。しかし、その痛みは強烈で、ご自身で判断するのは困難です。

「サイズ × 場所 × 合併症(感染)」

この3軸を見極めることが、最短で苦痛を取り除く鍵となります。

津かわもと救急・内科クリニックでは、救急医としての経験を活かし、エビデンスに基づいたスピーディーな診療を提供しています。夜間や早朝の突然の痛みにお困りの際は、無理をせずご相談ください。(あまりの痛みに救急車を呼ばれる患者さんが多いですが、当院を受診されたら激痛のためなるべく早期に診察・検査させていただきます。)

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